瓢箪鯰的な男の雑記帳

心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書きつくる そんな雑記帳

ニヒリズム的ななんとかかんとか

前の中書王・九条大政大臣・花園左大臣、みな、族絶えむことを願い給へり。染殿大臣も、「子孫おはせぬぞよく侍る。末のおくれ給へるは、わろき事なり」とぞ、世継の翁の物語には言へる。聖徳太子の、御墓をかねて築かせ給ひける時も、「こゝを切れ。かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや。 (徒然草・第六段)

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・私にもこう見えて若いころがありましてね
 まぁ、やっぱり人並みに悩んだりしたのですよ。
「自分のレーゾンデートルは何ぞや~」みたいなさ。
で、そんなん分かんないわけじゃないですか。当時は体調も悪かったし。
あ~あ、昔は青臭かった。青臭かったねぇ。

・友達がぽっくり死んじゃってさ
 社会人になりたての頃だったか。
昼寝してたら友達の訃報が入ってね。
いやぁまさかだよ。ついこないだ会ったばっかりなのにサ。

・「人は死して名を残す」
 爺さんからそんなこと言われて育てられた気もするんだが
友人の遺体を目の前にしてさ、やっぱり色々考えるのですよ。
30歳にもならんで、不慮の事故で亡くなって
この友達の人生ってなんだったんだろうって。
何かを為す前に亡くなったしさ。
その時思っちゃったのよ。名前を残して死ぬって大変だなってことに。
この友達の記憶も、その肉親と知人が生きている今後数十年の命だしね。
生きた証と言えば、大学の図書館に眠ってる学位論文くらいなものでね。

・よくよく考えたら
 平安の左大臣・右大臣だってさ、みんな知ってそうなのって道長・頼道くらいなもんで
良房だ冬嗣だなんてのは、一部の歴史好きしか出てこない名前でさ。
そっか、左大臣・右大臣になったって千年も名前は残らんのかぁ
時の流れはなんて残酷なんや、なんて考えてしまった。

・ま、残さなくていいじゃん
 そそそ、名前なんか残らなくてよい。自分の生きた痕跡なんかなくてもよい。
大和の大王だって墓が比定できないの、たくさんいるしね。
ま、世の中そんなものなんです。
そう思ったら随分とラクになった。それでよいのです。

知人の古い日記を見ていたら
そんなこと考えてた昔が思い出されたってだけでね。
日々徒然。徒然。そ、徒然で良かったの。